Q.研究ステージから製品開発ステージへと向かう中での課題や、それをどう乗り越えられたのかについてお聞かせください。
川崎氏:当初、「ナールスゲン」は医薬品や農薬としての製品開発を目指したのですが、なかなか良い結果が得られませんでした。その中で大阪市立大学の小島先生との共同研究を経て化粧品原料への道が切り開かれました。その上で、研究開発には多額の資金が必要ですが、国の競争的資金であるA-STEPで1億2,000万円強獲得でき、様々な大学や理化学研究所との共同研究を通して、様々な有用なデータを積み重ねることができた、という経緯がございました。
また、弊社メンバーは元々製薬会社で医薬品の研究開発には携わっていましたが、化粧品に関しては全くの素人でした。様々なつながりの中で大手化粧品会社の OB 7名の方にご協力やサポートをしていただき、化粧品の安全性、有効性、企画やコンセプト開発等についてもいろいろとご助言をいただきました。このように、いわゆる研究開発の「魔の川」「死の谷」については多くの人達からのサポートを受け、乗り越えることができたと思っております。
Q.今までのご経験の中から「魔の川」を乗り越えるために必要だと考えられているような条件はどういったものだと感じていらっしゃいますか。
山口先生:いろいろな要素があり難しい点かと思いますが、大事なポイント「エビデンス」としては、その技術を裏付けるきちんとしたPOCの用意が初めに必要になるかと思います。
次の段階として、川崎社長もおっしゃっておりましたが、製品開発の道筋が見えた後、きちんと顧客のニーズを把握することが必要になってくるかと思います。
製品を開発するということは、当然購入していただく顧客がいるわけで、その方々は何かしらの課題ニーズを持ってその商品を買われるかと思います。ニーズを把握して研究開発を進めていくことが「魔の川」を乗り越えるために必要だと思っています。