2022年7月22日(金)に「『京大発イノベーションを探る@健都』ワイヤレス人体センシングの最前線 ~非接触でここまで出来る!~」が大阪健都会場とオンラインのハイブリッドにて開催されました。今回は、ご登壇のお二人から、研究成果や事業内容、今後の見通しや市場展望について、そして研究者/起業家としての実体験を基にした共同研究を進める上でのポイントなどを詳しくお伺いいたしました。こちらのレポートでは、当日のお話の一部をご紹介させていただきます。
※動画の視聴期限は2023年1月22日です。
目次
・京都大学 工学研究科 電気工学専攻 教授 阪本卓也先生 プレゼンテーション
・株式会社マリ 代表取締役 瀧宏文さま プレゼンテーション
・トークセッション

・最後に
京都大学 工学研究科 電気工学専攻 教授 阪本卓也先生 プレゼンテーション
阪本氏:
人を測定する「人体センシング」機器は、私たちが研究開発を行っている電波センサにはじまり、スマートウォッチ等の接触センサ、カメラ型、シート型等とその種類は多岐にわたります。それぞれの機器の特徴を比べてみたときに、複数名の生体計測ができ、プライバシーにも配慮でき、常時計測まで可能なのは電波センサのみであり、電波センサによるワイヤレス人体センシングの未来には無限の可能性が広がっていると私たちは考えています。
阪本氏:
本日のイベントを通してワイヤレスセンシング技術の良い点をたくさんお伝えしてきましたが、一方では、社会に受け入れてもらえるかどうかという倫理面に関しても考えなくてはなりません。ワイヤレス技術に対しては、「密かに計測されているのではないか」という不安や、呼吸・心拍等の計測を通して「ストレス状態を他人に見られたくない」という懸念、情報漏洩や悪用の可能性等、ネガティブな感情を持たれる方もいらっしゃいます。その反面、非接触センシングを通して見守られている安心感もあると思っています。
この両者のバランスをとるために、非接触見守りセンサコンソーシアムの枠組みで、倫理検討委員会を立ち上げ、倫理指針の策定を行っているところです。
ワイヤレス人体センシング技術により、今後、「いつの間にか」見守ってくれるタイプの新しいヘルスケアサービスが実現され、真のスマート社会へと移行していくのではないかと、私は考えております。

※当日は研究開発内容に関して詳しくお話をお伺いいたしました。
株式会社マリ 代表取締役 瀧宏文さま プレゼンテーション
瀧氏:
日本でよく行われてきた医療機器開発手法である「技術発イノベーション」とは違い、「スタンフォードバイオデザイン」はデザイン思考を取り入れたニーズ発の医療機器イノベーションを牽引する人材育成プログラムです。この手法は約20年前にスタンフォード大学で始まり、高いプロジェクト成功率を誇っています。「新しい価値を創造するために、問題(ニーズ)を特定することから始める」というデザイン思考を医療機器開発用にカスタマイズしたやり方で、とてもシンプルではありますが、市場調査が先行して終了しているため技術開発成功時のプロジェクト成功率が高い等のメリットがあります。
瀧氏:
株式会社マリは、元来、睡眠時無呼吸症候群における非接触の治療法や診断方法を研究開発している会社です。非接触で睡眠時無呼吸を判断することはとても難しく、その問題点を解消するためにも、ミリ波レーダの開発を阪本先生と一緒に進めてきた、という経緯があります。
今後は、開発を進めてきた非接触モニタリングの応用として、遠隔医療や、健康情報を活用したヘルスケアサービス等、様々な広がりが出来ればと考えています。

※当日はスタンフォードバイオデザインや、株式会社マリさまで進められているプロジェクト等について詳しくお話いただきました。
トークセッション
イベント後半は、トークセッションとして、共同研究におけるポイントや、今後の展望について、詳しくお伺いいたしました。
Q:非接触センシング市場はこれからどうなっていくでしょうか。是非お考えをお聞かせください。
阪本氏:
Googleをはじめとして、センシング市場は大手IT企業も参入してきている注目の市場です。「人の測定」というものは時が経っても古くなることはなく、人間が人間である限り、人を測定したいという欲求はなくなることはないと思っています。ヘルスケア市場も拡大をしている今、電波で離れたところから計測できる、という非接触センシングは、直近2、3年で急速に発展していくのではないかと考えています。


瀧氏:
今まではミリ波レーダの計測は、健康な人を対象として研究開発を進めてきました。今後は、疾患をお持ちの方を対象とした場合でもデータをしっかりと取れるのかどうか、疾患ごとによって違いがあるのか、そして疾患の前兆がわかるのかどうか等の検証にシフトしていくのではないかと思っています。この2、3年でそのようなデータの蓄積と開発が進み、新しい未来につながっていくのではないかと私は考えています。

最後に
当日はお二人から、ご経験に基づくお話や、共同研究を行う上で工夫したポイント、そして今後の展望まで、お話をお伺いすることができ、ワイヤレス人体センシング技術の今後への期待が高まるイベントとなりました。
ご視聴いただきましたみなさま、ありがとうございました。

本レポートではご紹介しきれなかったお話に関しましては、アーカイブ動画にてご覧いただけます。是非この機会にご覧ください。

※こちらのアーカイブ動画の視聴期限は2023年1月22日となっております。
<「株式会社マリ」のご紹介>
会社名:株式会社マリ
ミリ波レーダ高精度生体情報センシング技術等を用いて、睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行う非接触革新的医療機器を開発している、京都大学発スタートアップ。

https://marisleep.co.jp/

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