2022年8月4日(木)に「日米のスタートアップ投資実務入門~シリコンバレーでの起業・投資を見据えて~」が大阪健都会場とオンラインのハイブリッドにて開催されました。今回のイベントでは、日米のスタートアップ投資に焦点を当てて、それぞれの資金調達手法の相違点や投資プロセスを解説いただきました。こちらのレポートでは、当日のお話の一部をご紹介させていただきます。
講義:日米のスタートアップ投資実務入門~シリコンバレーでの起業・投資を見据えて~
林氏:
スタートアップの資金調達手法としては、借入(Debt)もその手法に入ってきますが、今日のセミナーでは、株式による投資(Equity)の部分(上図:赤の点線枠)と、将来、株に代わる部分であるConvertible securities(上図:緑の点線枠)を中心に取り上げます。


林氏:
Debtは借入=借金なので返済しなければならず、BS上は負債に計上されます。貸主となるのは主に銀行です。

Equityについてはもちろん、Convertibleについても基本的に返済を予定していません。Equityの場合、利息はつかず、Convertibleの場合も利息が付くのは一部のみです。Equityの場合すぐに投資家は株主になりますし、Convertibleについては、将来株主になることが見込まれています。これらの違いは後ほど詳しく説明しますが、今の時点ではDebtとの比較でご理解ください。

(中略)
林氏:
優先株式の発行に関する書面に関しては、日本とアメリカを比較すると、意味内容は全体を通して概ね似ていますが構造は少し違っています。

日本の場合は、株式の内容を定める「定款」、出資の金額、時期、条件等を定める「投資契約書」、株主の権利等について定める「株主間契約書」の3点、又は、分配に関するルールを株主間契約書とは別の契約書で定める場合は4点、が基本的に必要です。

一方、アメリカでは、Certificate of Incorporation、SPA(Stock Purchase Agreement)、IRA(Investors’ Rights Agreement)、ROFR(Rights of First Refusal and Co-sale Agreement)、VA(Voting Agreement)の5点が基本セットになります。この5点のうち、IRA・ROFR・VAは、日本の株主間契約書に相当します。

従いまして、事業会社の方がアメリカのスタートアップに投資をするとなると、発行体から送られてきた、この5点セットをレビューするのが、投資に必要な主な作業となります。この5点の書面は各20頁、合計100頁ほどに及ぶものであり、実際の契約締結にあたっては、このような長い契約書をいきなり見るのは大変なので、「Term Sheet」と呼ばれる、主要な条件を記載したもので合意してから、長い契約書を作成します。


※当日は、スタートアップ投資の概要、優先株式による投資、Convertible Securitiesによる投資、そしてバイオ・ヘルスケア分野への投資という題目で、順にお話をいただきました。
最後に
今回、林さまには日米の相違点を軸に、スタートアップ投資の概要をお話いただきました。ご視聴いただきましたみなさま、ありがとうございました。
TMI法律事務所さまご登壇のイベントは、次回10月31日(月)を予定しております。現地・オンライン共に定員がございますので、ご出席ご希望のみなさまはお早めのお申込をどうぞよろしくお願いいたします 。

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10月31日(月)開催
バイオ・ヘルスケア企業における情報管理~研究開発情報、顧客情報等の取扱いについて~

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<「TMI総合法律事務所」のご紹介>
TMI総合法律事務所は、弁護士526名・弁理士89名(2022年7月1日現在)が所属し、国内外の拠点が連携し、様々な法務・知財案件に対応しています。関西には、大阪・京都・神戸にオフィスを持ち、バイオ・ヘルスケア関連の経験が豊富な弁護士が在籍しています。

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