亀井氏:
現在注目されている多能性幹細胞(iPS細胞やES細胞)は、大変応用性が広い細胞ではありますが、目的の細胞だけをつくることや成熟した細胞をつくることが難しいと言われており、いかに目的の細胞・機能的な細胞を作り出すのかが研究の着目点となっています。
私は、これらの目的の細胞・機能的な細胞をBody on a Chipに埋め込むこと自身が、将来的な生体模倣につながっていくと考えています。それを実現していくためには、生体内において、細胞がどういう環境にいるのか、ということを理解する必要があります。
幹細胞は生体内において、様々な環境因子にさらされています。つまり、適切な細胞外微小環境を作り出すことが細胞機能を引き出す鍵となっているのです。それを引き出す鍵として私たちが使用しているのが、ナノ・マイクロ工学です。
動物細胞の大きさは、直径が約数マイクロから数十マイクロメートルとなり、これらの動物細胞をとりまく環境を制御できるのがマイクロ工学です。また、動物細胞よりももっと小さい分子レベルや細胞レベルの小器官の領域がナノメートルの領域となり、それらを制御するためにナノ工学が非常に重要な役割を果たしています。
このナノ工学とマイクロ工学をうまく結びつけることによって、さらに細胞を自分たちの思い通りに制御することができるようになるのです。
実際に細胞操作に使われているナノ・マイクロテクノロジーは様々ありますが、それらのテクノロジーを融合することが細胞操作には必要となってきます。